(実話) 境界確定訴訟においてこんなことがありました,被告土地の地積測量図に土地の間口(公道に接した部分の距離)が6.60間(尺貫法の表示)と書いてありました,被告代理人弁護士(相手の弁護士)は「この土地の間口は12.50メートルである。」と準備書面で主張してきました。
間口6.60間は12.00メートルです,12.00mであれば隣地との境界は現状の占有(ブロック塀の位置)で問題は無いが,12.50mであれば,ブロック塀が0.50m隣地を占有している事件なってしまいます。
(原告の対応)
被告土地の間口は6.00間+0.6.間=6.60間,これをメートルに換算すると6.60×20÷11=12.00メートルです,なんかの間違いで12.00を12.50と書いてしまっただろう,と推察し6.60間は12.00メートルだから,裁判官に被告代理人の間違いであることを説明し,そのうえで,被告代理人弁護士にたいして,間違いでなければ12.50メートルの計算根拠の説明を求めました。
(被告弁護士の回答は1〜3でした)
(1) 計算根拠にたいして回答する必要性がない。
(2) 法律の専門家でない土地家屋調査士が本件紛争を解決する視点からでなく指摘している。
(3) 裁判所において,必要性があると思料されるものについては,可能な限り回答する。
という回答があったのです。
つまり,被告代理人弁護士のいいたいことは
(1)は“12.50メートルの計算根拠には回答する必要性がない。”といってきました。
(2)は,この間違いを指摘したのが土地家屋調査士でした,そこで
“法律の専門家でない土地家屋調査士が本件紛争を解決する視点からでなく指摘しているので回答しない。”といってきました。
(3)は“回答の必要性があるなら,裁判所(裁判官)から指摘しなさい。”といってきました。
この例では,地積測量図に12.00mとあれば何ら問題にはならないのですが,尺貫法で書かれた6.6間をメートルに換算する知識が必要です,専門家である土地家屋調査士とか宅建士にとっては当たり前のこと,常識ですが(6.6間÷0.55=12.00メートル),訴訟では,明らかに“それは違うでしょう”ということでも反論しなければ認めたことになるようです。
ただ,裁判官に尺貫法をメートルに変換する知識があればなんら問題にすることでな無いのですが。裁判官にこの程度のことは知っていますよね,と聞くのも不自然です。
裁判官に,境界に関しての知識が有ると思っては駄目です,裁判官は素人です,最悪の場合,一般人と変わりません。このこと肝に銘じて境界確定訴訟に参加することです。
場合によっては,こんな簡単なことも説明しなければならないのかと言うこともあります,裁判官は“このことが判らないので説明して欲しい“などということはいいません,(3)の回答はこのことを見越した内容になっているのです。
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